猛暑と言われた今年2020年の夏も、ようやく終わりを告げようとしているようです(ホントか?)。
夏のあいだはおやつにケーキやアイスといった、買って来たら冷蔵庫や冷凍庫で保管しておいたものをいただいていましたが、少し気温も下がったことなので、違うものを食べたくなりました。
そこで思い出したのが、「そろそろ月餅を食べる時期なんじゃないか?」というもの。
月餅の想い出
月餅というお菓子は、大多数の日本人にとってはあまりなじみのないものかもしれません。
しかし、私は東京の四谷という場所で生まれ育ったにもかかわらず、小さいころからよく月餅を食べていました。
親戚縁者に中国関係の人がいるわけでもないのに月餅が身近なものだったのは、近所に月餅を売っているお店があったから。
現在のJR四ツ谷駅のすぐ近くにあったその店は、中華菓子だけを売っていました。年がら年中、月餅を買うことができたので(出来立ては皮がサクサクしていて美味しかったです)、ボクは月餅が季節特有の菓子だということを知らずに過ごしました。
月餅が季節の行事に関係した菓子であることを知ったのは、大学を出て社会に出てからだったと思います。たぶん、『言葉ものしり大辞典』とかいうインチキな本を編集させられていたときのことだったのではないかな。
中秋月餅とは
月餅(げっぺい)とは、その名のとおり、月に見立てたお菓子のことで、中国がオリジナルです。
古くはお供え物として用いられ、月をもしたものですから月に関係のある日のものです。
月に関係のある日といえば、中秋節。
中秋節は、東アジアに伝わる伝統行事で、旧暦の8月15日に行なわれるもの。
8月15日というのは、旧暦の秋=7〜9月の真ん中の満月の日ということですね。この日に月見の宴を開いたことが期限と言われています。
日本にも、月見団子や月見饅頭をススキとともに供えるという風習があったように思いますが、少なくとも私はそのような行事に参加したことがなく(饅頭を父親が買ってきていたような記憶はある)、そういう意味でも自分のなかでは月餅と中秋節のつながりがなかったわけです。
月餅の種類
子どものころから月餅に親しんでいた、と書きましたが、私が食べていた月餅は、調べてみると、中国でも北京や北方の「五仁月餅」というものだったようです。
これは、水分が少なめの餡に、ナッツ類を混ぜ込んだもので、クルミの歯触りが心地よかった記憶があります。
これに対して、先日、横浜の中華街で買って来た月餅は、茹でた鹹蛋、すなわち塩水漬けのアヒルの卵の黄身の部分をいれたもので、「広式」と呼ばれる広東省のもののようです。
このほうが月見気分が高まるかもしれません。
大きさも大中小とあって、大きいものを切り分けて食べると、ちょっとした宴会気分を味わうことができるかもしれません。
このほか、ひき肉の入った蘇式月餅というのもあるみたいです。
まとめ
今年の中秋節は10月1日で(月齢に準じた旧暦なので毎年違います)、中国国慶節に重なります。
早くも月餅は食べてしまったのですが、美味しかったので、また買いに行きたいと思っています。
ところで、中秋節と国慶節が重なるとなれば、中華街ではかなり盛り上がるはずだったのですが、今年はあいにくのコロナ禍。
賑々しいデモンストレーションはすべて中止になっていると関係者からうかがっています。必要な行事は執り行うそうですが、観光客や私のような通りすがりの者には関係の無いもののようです。
月が満ちるコトに関して、古来、不思議な力にあずかれるとされてきたのではないでしょうか。
月餅で月を愛でて、コロナ禍にあえぐ現状が早くよくなることを願ってみたいと思います。
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