正月に食べすぎ&飲みすぎだと、仕事始めで「痩せなきゃ!」と思う人も多いでしょう(笑)。
そんな時期にこのタイトルを目にしたら、読まずにはいられませんね。。。
著者は……
管理栄養士・日本抗加齢医学会認定指導士の肩書きをもち、日本ダイエット健康協会理事などにも就任している人物。
あとがきによると、10代前半から30代後半まで、いわゆる「食べない」系のダイエットをしながら失敗してリバウンドするという経験をしてきたそうです。1日700kcalでもやせない体質になっていたというから、相当の努力と失望だったのでしょう。
そこで一念発起して営業学を学び、「食べても痩せる」という知識を身につけて、最高体重から20kgの減量をして現在に至っているとか。
実はこの本は近所のスーパーの雑誌棚の隅にあったのを、カミさんがレジで会計しているあいだの暇つぶしにパラパラとめくっていたところ、見開きで要点がコンパクトにまとめられ、その見出しが抽象的ではなく実践的で「おもしろそう!」と思ったので、ついつい帰宅後にネットでポチッ買いしてしまったという一冊です。
そもそも、私たちの身体は「なにかを減らせば、その分やせる」という単純な引き算が通用するほど、単純にはできていません。
本書はタイトルに“大盛りご飯を”とあるように、女子の美容向けのダイエット本というよりは、ガッツリ食べたい男子やガテン系女子に向けた内容になっています。もちろん、食べることに罪悪感を感じている女子に、「もっと食べても大丈夫なんだよ」というメッセージも送っているわけですが。
そこで問題になるのが、「太ったら食べなければいい」という引き算の考え方。かなり男子的な考え方だと思いますが、これってけっこう無意識に行動してしまってますよね。。。
米は日本人にとって体調を整え、脂肪を燃やしやすい身体にするためにも重要な食べものです。ですから、米をしっかり食べて、パンや麺類などの小麦食品をできるだけ抑えようというのが、伊達式ダイエットの基本の一つ。
精白度の高い小麦が日本人のダイエットの阻害要因になるという見解は、炭水化物ダイエットでも見ることができます。ただ、伊達式では、米はどんどん食べなさいという考え方です。
どうしても、「そんなに食べて太らない?」という不安がぬぐいされない人は、ぜひ、コンピューターゲームのテトリスを思い浮かべてみてください。
本書でいちばんおもしろいと思ったのがこの部分。
食べものが体内で処理される概念をテトリスにたとえています。いわゆる落ちものパズル系ゲームですね。
脂質ブロックだけが残ってしまう状態が肥満につながり、それを解消してくれるのがほかの栄養素のブロックというわけです。バランスよくいろいろなブロックをうまく組み合わせて、ブロックが残らないように食事を考える、というのがこのダイエットの基本方針ということがよくわかります。
というか、ダイエットではなく健康的な食生活を考えるための指針といったほうがいいですよね。
できれば、1回の食事で摂るタンパク質は、肉か魚のどちらか1種類だけにしましょう。肉と魚では、消化に適した胃の酸度が異なるため、一緒に食べると消化不良を起こしやすくなるので注意が必要なのです。
管理栄養士らしい、細かい注意が記されているのも本書の好ましい点です。伊達式ではご飯を燃料として、代謝を上げる身体作りのために欠かせない栄養素としてタンパク質を挙げて、炭水化物とタンパク質のバランスを考えるように指示していますが、その重要なタンパク質摂取に関しても、「なんでもいい」というわけではないという注意喚起がこれ。
たしかにタンパク質が筋肉を作るから積極的に摂ろうと思うわけですが、得てして消化が悪く、そこでこうしたアプローチを挫折してしまいがち。
それには理由があって、同じタンパク質でも食べ合わせがあるといういうことを知らないと、胸焼けで続けられなくなってしまうというわけです。
この点に注意すれば、献立も考えやすくなるでしょうね。
食べ過ぎた日の翌日は、「18時間プチ断食」もおすすめです。これは24〜48時間プチ断食の時間を18時間と短くしたもの。
伊達式でも断食の効用を説いています。しかし、なかなか普段の生活で断食するのは難しいでしょう。そこで18時間なら、という提案。前夜10時ごろまで調子に乗って飲み食いしてしまった翌日、午後4時ぐらいまでは水やスープ、野菜ジュース程度で胃を休めるだけでも食事のペースは調整されるということです。これなら実践しやすいですね。
もし、「寿司は太りやすい」なんて思っていたら、それは誤解。酢飯は、米のご飯に巣を混ぜることで、普通のご飯より糖の吸収がゆるやかで、体脂肪になりにくいのです。また、なんといっても大きいのが、生の魚を摂るメリット。生魚には、魚本来の良質なタンパク質や脂質、ビタミンやミネラルなどが、加熱によって失われることなく、そのまま含まれています。しかも、デトックスに欠かせない酵素やDHA、IPAといった良質な脂肪も、新鮮なまま丸ごと摂れます。この生魚と酢飯は、ダイエットにもアンチエイジングにも最高の食べ合わせと言えるでしょう。
後半は実践的な食材や食べ合わせについての解説について触れられています。かなり実例が多いので、自分の食生活に取り入れる強力なヒントになってくれるでしょう。
ちなみに私は早速、マテ茶を通販サイトで購入することにしました(笑)。
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男性の場合は、食べ過ぎなくらい量は食べていても、必要な栄養素がまったく摂れていない「ガテン系栄養失調太り」や、「一見それほど太って見えないけれど、ふいだらぷよぷよという「ぷよぷよ系失調太り」がとても多いのです。
こういう悩みをちゃんと解説してくれているのが本書を気に入った理由。
そして、太るということは「身体が炎症を起こしている」という指摘もわかりやすくていいと思いました。
飲むときの注意点として、お酒を飲むときには「おにぎりは食べない」ということも(相談者に)リクエストしました。基本的に米のご飯はたくさん食べても大丈夫ですが、お酒と一緒だと体脂肪になりやすいですから。
一般の女子向けのダイエット本にはなかなか見られないアドバイス(笑)。
お酒+おにぎり=体脂肪という方程式は必須暗記ですね。
定期的に検診を受けていると、自分が感じたり考えてやっている生活習慣・食習慣ではコントロールできない数値が出てきたりして疑問に思っていました。そうした部分にも踏み込んで理解できる説明が本書にはあったというのが読後感。
もちろん明日から山盛り飯を食べようとは思いませんが、組み合わせに注意をしながら「食べないように」という気遣いは無用と思えるだけでも、この本で学んだ甲斐があるというものです。
しばらく体重管理と並行して伊達式を実践、血液検査の結果も見ながら「食べてもやせる」を考えてみたいと思っています。
大盛りご飯を食べてもやせる技術 |