食の安全の話題は、関心が高いにも関わらず、信憑性への追及がないまま放置されているという、不思議な事象が続いているのですが、フェイクニュースに注目が集まる今日でもまだ決着が付いていないようです。
この記事は、「週刊朝日」が掲載した電子レンジ調理への警鐘に関する内容について、その内容の間違いを指摘する依頼がまだ続いていることを嘆き、改めて検証しているものです。
それによれば、現在も食の安全で「危険!」とされることが多い「電子レンジによるタンパク質の変質」「食材を精製することによる人体への依存性などの悪影響」「加工度の高さの変質」「トランス脂肪酸・食品添加物の悪影響」といった「止めるべき」という説に対して、それぞれ科学的な根拠がないことを挙げ、むやみに不安を煽るデマであると断罪。
こうした言説がむしろ食を扱う人たち(幼児のいる家庭の主婦など)に精神的な悪影響を与えている原因を生んでいるとしています。
私もこうした一部の書籍に感化されて、食材選びに神経質になったりした経験がありますが、どちらにもそう考える根拠はあるにもかかわらず、「〜はダメ」と扇動する説には数字的な根拠がないことも多いことに思い当たったりしますね。
摂取する要素は体重比によって影響が変わるはずですし、耐性や体調などにも左右されるはず。もちろん、少しずつでも毒を摂取し続ければ、当然のように健康に影響があることは想像に難くないわけですが、ほかの要因を排除した臨床実験でない限り、ピンポイントで「これが犯人だ!」と言えるはずがないことは、少しでも科学のフィールドに足をかけている人であれば、留意すべきだというのもわかります。
確かに、トンデモ情報への反論には納得できるものも多いですが、「そうは言い切れない」というようなグレーな解釈もないわけではありません。
だからといって、「〜はダメ」というキャッチーなトンデモ情報にも一理あるとは言えませんが、口に入れるものだけに、こうした情報には裏と表が常にあることを前提に取り入れるべきだと思いました。
そういえば、20年ぐらい前には日本人の寿命が41歳になるという説が話題になったことがありました。
「西丸震哉 教」の信者でもあった私は、なんとなくそうなっても不思議ではないと思っていたものの、いつのまにかその年齢を大きく越えて、毎日飲み歩いたりしています(笑)。
生物としての人間が(理論を超えて)強いだけなのか、すべてがでたらめな情報だったのか、アップデートで説の前提となるデータが変わったからなのか、などなど。いずれにしても、騒がれている説は、そのエキセントリックな内容ほどに深刻な被害が出ていないことだけは確かなようです。
もちろん、メーカー側の改善や、良心的な対応によって、水際で回避された事例があるのかもしれません。
ただ、無菌室で生活するわけでない我々としては、どう排除するかではなく、どう付き合っていくかを考えることも必要なんじゃないかな、と思ったりするわけです。